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当学園顧問-推薦の言葉

戦後経済大国になった日本は、90年代のバブル崩壊と共に急速に国力を失い今日に至っています。国家の国際競争力は、1993年の世界1位(IMD)から今や30位台と急速に順位を落とし、経済、人口、教育など多くの分野で「失われた30年」と言及される厳しい状況に直面しています。一方世界に目を向ければ、気候変動や貧困・飢餓・紛争などさまざまな問題が山積しています。これらの多くは、人や国の関係性のありかたに起因しており、同時に解決の糸口もそこにあります。子どもの頃から互いの違いを認め合い課題・問題を解決に導く、コミュニケーション能力を身につける教育がいま求められています。

島国日本は単一の民族・言語による「ハイコンテクスト型カルチャー」の国で、「おもてなし」や「思いやり」の精神がある反面、「以心伝心」「あうんの呼吸」により、「忖度(そんたく)」や「同調圧力」の影響を受けやすい一方、多様な「言語」や「文化」、「人種」が交わるグローバル社会を形成する「ローコンテクスト型カルチャー」のグローバル社会とは、コミュニケーション方法や思考形体が異なります。

またAIとりわけChatGPTの登場で、生活形態も変化し、世界が益々私たちにとって身近なものとなる一方、日本人特有のコンテクストをよく理解していない外国人との「接触」の機会が年々増えています。パブリック・リレーションズは、目的や目標達成のために「倫理観(善を求める心)」と「双方向性コミュニケーション(対話力)」に支えられた「自己修正能力(間違いに気づき正す力)」の3つの要素が統合された関係構築手法です。これらは、さまざまなバックグラウンドをもつステークホルダー(関係する人)との円滑な目的・目標達成の基礎となり、創意工夫ややり抜く力として発展させ、日々の生活に活かせることが実証されています。

外部環境を読み取り、民族や文化、言語、宗教、国境を超えてさまざまなステーク・ホルダーとのリレーションシップ・マネジメントを実践するパブリック・リレーションズは、グローバル社会においてますます必要なものとなっています。

私は50年にわたってパブリック・リレーションズの実務家・教育者として多くの事業に関わり、京都大学を含め全国の主要大学・教育機関で教鞭を執っています。相手の気持ちを汲み取るハイコンテクストを身につけると共にローコンテクストを理解し、日本と世界の架け橋として、教え子たちが国内外それぞれの分野で、より良い未来のために邁進しています。

お子様が成人した未来の社会はどのようになるのでしょうか?パブリック・リレーションズは、激変するこれからの社会で、それぞれの夢を抱きながら生き抜いていくためのプラットフォームです。この学園におけるパブリックリレーション教育には、ディスカッションやワークショップがあり、協働の機会が豊富に用意されています。その過程で子どもたちは、衝突と一致を繰り返しながらより大きな結果を創造する技術を学びます。強い絆で仲間と結ばれた経験は、貴重な財産となることでしょう。

ダイバーシティドリーム横浜学園(DD学園)の理念である、「軸を持ち才能開花し世界の人たちと仲良くできる人間の育成」のもとで、パブリック・リレーションズ教育に携われることを大いなる喜びとすると共に、パブリック・リレーションズを学ぶ過程で培った強い「絆」で結ばれた子どもたちが、将来この学園を巣立ちさまざまな分野で個々の能力を発揮し、より良い社会の担い手として活躍することを心より願っています。

日本パブリックリレーションズ研究所
 代表取締役所長
京都大学経営管理大学院 特命教授
井之上 喬